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青年海外協力隊のその後の進路 「日本語教師」

今回は、青年海外協力隊・任期終了後の進路として「日本語教師」をテーマにお話します。

 

青年海外協力隊には「日本語教師」という職種があり、中国やアジア圏を中心に多くの隊員が派遣されていますが、今回は「帰国後の進路として、日本語教師を目指す」という観点でお話ししますのでご了承ください。

 

 

今回日本語教師のお話をするのは、私自身が青年海外協力隊での経験を通じて日本語教育にちょっと興味を持った、という経緯があります。

 

専門的な文法などを教えるのは難しくても、協力隊なら「プチ日本語教室」として簡単な日本語を教える機会は1度や2度はあるのではないでしょうか。

 

日本語教育に興味のある人は参考にしていただければと思います。

青年海外協力隊で日本語を教えること

私自身の実体験

まず始めに、私自身の「日本語を教える事」の実体験についてお話します。

 

ジャパニメーションと言われる日本のアニメや漫画は世界的に多くのファンを持ち、私の派遣国であったアフリカのサブサハラ地域もそれは例外ではありませんでした。

日本のアニメをテレビで放送している訳ではないのでアフリカのローカルの人たちにはほとんど知られていませんが、中流層の若者はインターネットを通じて日本のアニメや漫画を見たことがあるという人も多少はいます。

 

 

日本のアニメや漫画をきっかけに日本という国に興味を持ち、中には独学で日本語の勉強をしているという人もいました。

 

ほとんどの日本人が知らないこんなアフリカの小さな国にも、日本の事が好きで、いつか日本に行きたいと思って、独学で日本語を勉強している人がいる。

 

これはちょっと感動しましたね。

 

私はその「日本語を独学で勉強している現地人」とSNSで知り合ったのですが、実際に会って日本語を教えたり、メールのやり取りで日本語を添削したり、という事をしていました。

彼は日本人の友人が出来たことを喜んでくれましたし、分からない事はたくさん質問をしてきました。

 

こういう「日本に興味がある」という人は、日本語の事以外にも、色々な事を質問してくる訳ですよ。

  • ラーメンはどんな食べ物なのか?おいしいのか?
  • 日本の電車は時間通りに来るって本当か?
  • 日本は暑いのか?寒いのか?
  • アキハバラに行ったことはあるか?

などなど・・・・

 

そこで私は、ある事に気が付きました。それは

  • 自分の国に興味を持ってくれることがとても嬉しい!
  • 自分の国に興味がある人に、自分の国の事を話すのはとても楽しい!

という事です。

 

 

日本語を教える・日本の事を話すってこんなに楽しいんだな、と初めて思った訳ですが、

それと同時に、文法レベルで日本語を教えるのは難しい。知識が必要だという事にも改めて気づきました。

 

 

となると・・・「日本語教師」ってどうなんだろう??なんて思ったりもするものです。

 

青年海外協力隊で日本語を教える人は多い

青年海外協力隊の配属先での活動以外で、ボランティアで現地の人に日本語を教える人、日本文化紹介を行う人も少なくないかと思います。

 

国によっては日本語を身に付けてキャリアアップに役立てたい人もいるでしょうけど、興味本位で挨拶や平仮名・片仮名を覚える程度という場合が多いかもしれません。

 

 

多くの隊員にとっては現地の人たちとの触れ合いという意味合いで、楽しんでやっている事かと思いますが、

こういう活動は非常に大切だと思います。

 

日本語の勉強をきっかけに、日本の食文化や伝統芸能などにも関心を持つ人がいるかもしれません。

ほんの少しでも日本に興味を持つ人が増え、日本に友好的な感情を持つ人が増えれば

いつか日本に来てくれる人もいるかもしれませんし、日本人の味方になってくれるかもしれませんからね。

 

特に少子高齢化が進む日本にとってはインバウンドの増加は経済のカギを握っていますので、一人でも多くの人に日本に関心を持ってもらうという事は日本にとっては間違いなくプラスになっています。

 

短期間で目に見えるような効果を得られるような事ではありませんが、時間をかけて積み重ねれば必ず成果が表れてくるものですので、「日本の文化紹介」というのは海外に住む日本人の大切な役割だと思います。

 

日本語教師になるために必要な資格

私のように青年海外協力隊でちょっと日本語を教えた経験から、日本語を教える事の楽しさを知り、日本語教師という仕事に関心を持ったという経緯があったかどうかは分かりませんが、

青年海外協力隊に任期終了後に日本語教師養成講座を受講して、日本語教師になる方もちらほらいらっしゃるようです。

 

日本語教師になるために必要な条件は以下の通りです。

 

①大学において日本語教育に関する主専攻または副専攻を終了し、卒業したもの

②大学において日本語教育に関する科目を26単位以上取得し、卒業したもの

③日本語教育能力検定試験に合格したもの

④民間の日本語教師養成講座を420時間以上受講したもの

 

大学で日本語教育関連の単位を取得していなければ、試験に合格するか受講費を払って養成講座を受講するか、という感じになりますね。

日本語教師養成講座の通学の目安は最短半年で通常は1年~1年3か月。

費用は教材費込みで5~60万円程度と言われています。

 

 

ただ、就職活動の際の応募条件は国内か海外か、また、学校によっても大きく異なるようです。

仮に検定試験に合格していたとしても、学校によっては模擬授業などの経験が無ければ採用されないケースもあるみたいですね。420時間受講という条件は満たしていても、検定試験の合格も必須、というケースもあります。

 

日本語教師能力検定試験に関しては合格率は20%程度でそこそこの難関だと言われています。

出題範囲が広く、日本の歴史なども含まれるらしいので、海外在住の日本人が日本の代表として知っておくべきことはある程度勉強できるのかもしれないですね。

<検定合格率57.4%>「NAFL日本語教師養成プログラム」

資格・教育「ヒューマンアカデミー」

日本語教師としての働き方

一口に日本語教師と言ってもその働き方は様々です。

  • 日本国内の学校で働く(常勤・非常勤)
  • 日本国内の学校(企業)に就職し、東南アジアなどの現地で働く
  • 現地の日本語学校に就職して働く

などが挙げられますね。

働き方によって報酬にも大きな開きがあるようですが、日本法人の常勤でも年収は300~350万円程度である上に、国内の日本語教師のほとんどは非常勤だと言われています。

さらに、現地の日本語学校へ就職する場合の月収は現地の給料水準に近いものになるようです。

 

現地の平均所得よりは貰えるのならば、現地で生活する分には困ることはないとしても、

一生現地に骨をうずめるつもりでもなければ月収10万円そこそこの給料ではかなり不安ですよね・・・

 

ある程度まとまった貯蓄が無ければ、もしくは2年程度の期間限定でなければ、

  • 海外旅行もできないし
  • スペックの高いパソコンを新調するのも、便利なデバイスを買うのも難しくなるし、
  • ご両親やご家族に何かあった場合など、日本で何かあっても対応できません。

 

「余裕で生活できるだけの給料」と言ってもあくまで現地の水準での話。

極端な事を言うと、現地の水準の報酬で働くという事は、日本人であることを捨てる覚悟が必要だと思います。

 

 

とにかく、この報酬の低さは日本語教師のボトルネックと言えるでしょう。

日本語教師一本で生計を立てるというのは、現実的にはなかなか難しいのかもしれません。

 

 

ただ、現状としては日本語教育のニーズが高い東南アジアでは、日本人の日本語教師の数は圧倒的に足りていません。

求められている仕事であるのは間違いないし、日本に貢献できる仕事であるのも間違いないと思います。

 

 

パソコンでのリモートワークが出来るような人なら、現地で日本語教師をしながら別の副業で生計を立てるというのも個人的には面白いかと思います。

年配の方がリタイア後に資格を取って、現地法人で日本語教師の仕事をするというケースも多いようですね。

 

一生現役の時代だからという訳ではありませんが、帰国後すぐに日本語教師にならないにしても、興味のある人はコツコツ資格取得の勉強をしておくのも良いかもしれませんね。

<検定合格率57.4%>「NAFL日本語教師養成プログラム」

資格・教育「ヒューマンアカデミー」

まとめ

私が現段階で日本語教師になるための準備を何かしらしている、という訳ではありませんが、

日本語を教えるという仕事には興味があり、いつかはやってみたいという気持ちはあります。

 

しかしながら、日本語教師はそれだけで生きていく仕事とするのは簡単ではないかもしれません。

私のように「ちょっと片手間でやってみたい」程度の気持ちであれば副業として働くのが現実的だと思いますが、

「複業」という働き方が珍しくなくなっている現代で、「仕事の一つ」としてやってみるのは面白いかと思います。

 

低い報酬を考えてもどうにかやってもみたいと思えるくらい「日本語を教える」という事が楽しかった、という事かもしれません。

何かの参考になれば幸いです。