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年齢別の青年海外協力隊 20代は経験を積んでから参加すべき?

技術も経験もない自分が任国の役に立てるのだろうか?
もう少し社会人経験を積んでからの方がいいのではないか?
JICA青年海外協力隊には、特別な資格や経験がなくても応募できる職種・要請がいくつかあります。
なので、技術や経験がなくても応募して合格する可能性は大いにあります。
大学卒業後は青年海外協力隊にチャレンジしたい!そんな風に思っている人は人はたくさんいます。
一方で、こんな考えを持っている20代もたくさんいるのではないでしょうか。
「今協力隊に合格しても、自分には現地の人の役に立つ技術も経験も持っていない。
もう少し経験を積んでから参加した方がいい。」
確かにもっともな考えですね。
しかし、結論から言うと
青年海外協力隊は出来れば若いうちに参加した方がいい!
というのが私の考えです。
今回は、青年海外協力隊の参加に悩んでいる20代の方に向けて、30代半ばで参加した元協力隊隊員の立場からお話します。
・青年海外協力隊に行くなら、若いうちの方がいい理由
・活躍するために本当に必要なのは技術でも経験でもない
・協力隊の活動の質を上げるために身に着けておくべきスキル

 

協力隊に行くなら早い方がいい理由① 技術はそんなに必要ないから

基本的に高度な技術や知識は必要ない

青年海外協力隊にいくなら、できるだけ若いうちがいい理由として、まずは

活動において、経験や技術はそれほど大切ではないから

という事が挙げられます。

もちろん、

サッカーをやった事がない人にサッカー指導は出来ませんし、

料理が苦手な人には料理を教えることは出来ません。

 

しかし、別の言い方をすれば、

料理が得意なら趣味レベルでも、アルバイトレベルでも料理隊員は務まるので、板前レベルである必要は全くない

私の経験上、現場で必要なのはその程度のレベルです。さらに・・・・

 

実をいうと、青年海外協力隊の本質は、技術移転ではありません。

なぜなら、

本気で技術を学びたいと思っている現地人は本当に少ないからです。

 

もちろん全てがそうだとは言いませんが、

現地に「日本の高度な技術や知識を学びたい」という強いニーズがある、というのは多くの場合

ウソと建前です。

なので、JICAの要請表も基本的には全部建前、という事になります。

なので、技術も知識も経験もそれほど必要ではないし、

必要であったとしても、アマチュアレベルで十分です。

KAERU
KAERU
もちろんズブの素人はダメよ

 

なので、社会人経験がなくても、あなたになにか得意なことがあれば大丈夫でしょう。

※協力隊の試験に合格するかどうかはまた別です。あくまで活動において求められるレベル、という話です。

現地の人はあなた技術や経験など求めていない

 

青年海外協力隊で派遣される配属先の多くは、技術移転という話の前に大きな問題を抱えています。

それは、

  • 配属先の組織としての在り方
  • 組織を構成する人たちの態度や考え方

です。

もう少し分かりやすく言うと、

  • 組織の上の立場の人間が不正や着服を行っているので現場に必要なお金がない
  • 隊員が技術移転のために来ているという事を、そもそも理解していない
  • お金を持ってきたと思われている
  • 多くの同僚が「面倒くさいことには巻き込まないで欲しい」と思っている
  • 指導する対象である生徒や同僚のやる気がない

という感じでしょうか。

 

 

 

隊員としては、「自分の技術や経験が必要とされている」という前提で派遣されていると思いますが、

現地の人からしてみれば「イヤ、そっちが勝手に来ているんでしょ?」

という感じである場合が非常に多いです。

なので、「タダで人が来るなら、もらえる物はもらいます。好きにやってもいいけど、面倒なことはしないでくれよ」

というスタンスである場合が多いです。

 

あなたが技術移転をスムーズに行うためには、まず最初に

  • 同僚やカウンターパートの情熱
  • 生徒のモチベーション
  • 配属先全体のバックアップ

これらを獲得する必要があります。

が・・・これらを獲得するのは、一人ではなかなか難しいのが現実です。

これが「技術移転は本質ではない」という事ですね。

 

そう言う意味では、

子供たちのモチベーションが初めから高いスポーツ系の要請は活動がしやすい職種かもしれません。

 

技術移転を行うには、その前に乗り越えなくてはいけないハードルがある
技術移転というレベルまで行ったとしても、求められるレベルは非常に低い
以上の事から、もう少し社会人で経験を積んでから参加した方がいい、という考えは間違っているという事が分かっていただけるかなと思います。

協力隊に行くなら早い方がいい理由② 協力隊で得られるメリット

青年海外協力隊に参加することで無条件で得られるメリットには、

以下のようなものが挙げられると思います。

  • 派遣国の現実を知ることが出来る
  • 2年間の海外勤務経験有という肩書を得られる
  • 200万程度の貯金が出来る
  • 同期や同じ任国の隊員、大使館員、JICA関係者などたくさんの人脈が出来る
  • 語学力がある程度身に付く

これらのメリットについては別の記事で詳しく解説しますが、

これらに共通して言えることは

「早く手にしておいた方が圧倒的に得」という事です。

 

その後の自分の進路や選択肢を考えると、

20代でこれらのメリットを得る方が、30歳で得るよりも得、という事はお分かりいただけるかと思います。

 

国際協力の道に進むためには、

2年以上の海外勤務経験

が必要とされる場合が多いです。

協力隊に参加して任期をまっとうすれば、この条件は自動的に満たされますので一番わかりやすいメリットと言えるでしょう。

それだけではありません。

例えば・・・漠然と海外で働くことに憧れているという人は多いと思いますが、

実際に現地で開発コンサルタントや大使館職員のような人たちの仕事を見たり、話を聞いたりするチャンスもたくさんあります。

つまり、ぼんやりしていた憧れを、より具体的な目標に変えることが出来るという事です。

もちろん

自分に向いていない

想像していたのとは違った

というケースもあるかと思いますが、そういう事は早く知っておいた方が絶対にいいですよね。

いずれにしても、協力隊を経験してこそ開かれる選択肢はたくさんあります。

 

30代でこれらのメリットを得ても、再就職という観点で考えると

このメリットを十分に生かし切れるかどうかはわかりません。

 

 

出来るだけ若い年齢で協力隊に参加した方がいいのは、

若いうちに経験しておいた方が得するメリットがたくさんあるから
という事ですね。

 

20代の隊員が現地で活躍するために必要な事

活動が上手く行く。とは?

そもそも活動が上手く行ったかどうかの定義は難しいのですが、

技術移転という観点で目標を達成することはかなり難しいので、そういう意味ではほとんどの隊員が

「あまりうまく行かなかった」「何もできなかった」と思っていると思います。

 

 

ただ、私自身は

「2年間が充実していたかどうか」

これも活動が上手く行ったかどうかの指標として考えても良いと思っています。

2年間の活動を充実させるための要素の一つとして、

現地の人たちといい関係を築く

という事が挙げられます。

 

 

技術移転や協力隊の本分(とされている事)にこだわりすぎて、同僚や配属先の人たちとの関係が悪くなってしまうのはよくある話です。

毎日顔を合わせる人たちとの関係が悪ければ、充実した活動を送ることは難しくなりますよね。

「仲が悪くても、やることはやる」

それも確かに不可能ではありませんが、楽しい毎日を送れるかどうかはちょっと微妙です。

 

 

しかし仲が良いと

  • 自分を理解してもらえる
  • より相手の本音を知ることが出来る
  • 相手の協力を得られやすい

という事が期待できます。

仲が良くなるにつれて、日本の事を知ってもらったり、派遣国の事を知る機会も増えるでしょう。

相手が日本人の事を理解して好感を持ってくれたり、

あなた自身が派遣国やその国の人たちを好きになることもあるでしょう。

こういう日常は、絶対に充実した毎日になるはずですし、

帰国時に「この国に来て良かった」と思えるはずです。

そして、任国の人たちも同じように、あなたが来てくれて良かったと思っているはずです。

これだけでも、活動が上手く行ったと言っても良いかと思います。

20代の隊員の方が、活動が上手く行きやすい?

この、「現地の人といい関係を築く」という事に関しては、

30代以上の人と比較すると、20代の方が得意である傾向があります。

 

 

なぜなら、20代前半の技術も経験もない隊員は余計なプライドを持っていないからです。

20代後半、30代という年上と訓練生活を共にしてきた20代前半の隊員は、

非常に素直な人たちが多いという印象があります。

自分の経験なさを受け入れて、なんでも一生懸命勉強して、吸収していこうという人たちが非常に多いです。

 

一方、配属先には絶対にこういう人がいると思います。

  • 自分の非を認めない
  • 自分の手柄を誇示したがる

要するに、プライドが高い人。

こういう人たちは、頼るよりも頼られることに喜びを感じたりします。

 

例えあなたが100%正しいと思っていても、正論を言えば言うほど相手との関係が悪くなるというのはどこのコミュニティでも起こり得ることですよね。

 

なので、自分が一歩引いて、相手を気持ちよくさせて上げることが仲良くなるためのコツなのですが、

これを出来るか出来ないかでかなり差が出ます。

こういうのは意外と20代の若い人の方が無意識にできていたりします。

それは自分の技術に自信がない分、余計なプライドを持っていない場合が多いから、ですね。

もちろん、このスキルは年齢は関係ありません。あくまで傾向として、の話です。

 

時にはぶつかることも大切ですが、

大切なのは、その「ぶつかり方」という訳ですね。

活動のカギを握るのは語学力

という訳で、技術移転にこだわるにしても、充実した毎日を送るにしても、

まず大切なのは「現地人との良好な関係を築くこと」です。

 

現地人と良好な関係を築くためには様々なコミュニケーション上のテクニックもあったりするのですが、

そのテクニックをいくつか知っていたとしても、それを表現できる語学力がなければお話になりません。

職種の分野の技術も経験も大して必要ないが、語学力は高ければ高い方がいい

 

これは絶対です。

技術移転でも同様です。どんなに高度な技術や知識を持っていたとしても、

それを言葉で伝えることが出来なければ

全く意味がありません。

ちなみに、技術系の職種で、デモンストレーションを見せて「Like this」で伝わると思ったら大間違い。

言葉かなければ、表面上の事しか伝わりません。

一番大切なポイントは、言葉なしでは絶対に伝わりません。

 

自分の技術を知識を伝えるにしても、相手といい関係を築くにしても、

その根幹となるのが語学力だという事を覚えておきましょう。

 

なので、技術も経験もない20代の隊員は、まず語学力の向上を目指すべきだと思います。

「言葉がなくても何とかなる」は大間違い。
正解は「言葉が出来れば何とかなる」。

まとめ

今回の記事をまとめると

青年海外協力隊にいくなら若いうちの方が得
活動が上手く行くカギはプライドのなさと語学力

という事になります。

 

これから青年海外協力隊を目指す方は、このあたりを意識して重点的に取り組んでみると良いのではないでしょうか。

特に英語が苦手な方は、まず英語力の向上をお勧めします。

 

 

試験に受かる事だけを考えたらそれほど高い英語力は必要ありませんが、

活動の事を考えたら英語力はあればあるだけいい経験が出来ると思ってください。

今回は以上です!!