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JICA青年海外協力隊 説明会に参加する時の注意点

青年海外協力隊の説明会ってやっぱり行っておいた方がいいの?
今回は「青年海外協力隊の説明会に参加する時の注意点」というテーマでお話しします。
青年海外協力隊の説明会は、全国各地で行われていますね。

年間を通じて全国各地をまわる「説明会キャラバン」なんていうのもあるみたいですね。

さて、青年海外協力隊(JICA海外協力隊)の説明会に参加すべきかどうかなのですが、

参加した方がいいとは思いますが、参加するならJICAや帰国隊員の言う事を全て鵜呑みにしないようにしましょう。
ちょっと人聞きが悪い事を言いますが、これから順番に説明します。




 

青年海外協力隊の説明会の流れ

説明会の大まかな流れとしては、
  • JICAボランティア事業の目的の説明
  • ボランティア事業の概要
  • 帰国隊員との座談会
  • 希望者による個別相談会
という感じです。
帰国隊員は現地の民族衣装に身を包んで登場し、現地語で挨拶をするというパターンだと思います。
とても元気があって、一般的な青年海外協力隊のイメージと合致するような人たちばかりではないかなと思いますが、
それはあくまで登壇者としてのパフォーマンスであって隊員全員がそういうノリという訳ではありませんので、そういうノリが苦手な人も安心してください。
全ての協力隊の方がそういうキャラクターという訳ではありません。
当日は特に改まってスーツなどを着ていく必要はありません。普通にきれいな格好をしていれば十分です。

青年海外協力隊 説明会参加のメリットは?

説明会に参加するメリットはもちろんあります。

メリット① ホームページなどで公表されていないルールを知ることが出来る

 

JICA側から説明されるJCAボランティア事業の概要や歴史などはホームページなどを閲覧すればわかる事ですので特に聞く必要はないかもしれませんが、ホームページを見ただけでは分からない細かいルールがたくさんあります。

 

具合的にはお金(支給される手当など)に関することや任国外旅行に関するルールが挙げられます。

最近では任国外旅行先のルールが大幅に変更されるなど(派遣国と同じ大陸でJICA事務所のある国や、政府間協定を結んでいる国なら行けるようになりました。ヨーロッパなどへの旅行も可能です)たまに規則の変更はありますが、このあたりは公表されないので、基本的には中に入らないと分かりません。

 

こういった気になる条件やルールなどを最新の状態で正しく、かつ細かく確認することが出来るのは説明会に参加するメリットでしょう。

 

メリット② 経験者の声を聞ける

実際に青年海外協力隊に参加して、発展途上国で2年過ごした経験者の体験談は気になる方も多いと思います。

注意点に関しては後程説明しますが、私の考えるもっとも有益な情報は「具体的な帰国後のキャリアプラン」を実例として聞けることだと思います。

 

帰国後、その人が今現在何をやっているのか、どのような就職活動をしたのか、などに関してはたくさん事例を知っておいた方がいいと思います。

 

青年海外協力隊の説明会の特徴

さてここからが本題です。

前提として、

青年海外協力隊(JICA海外協力隊)の説明会というのは、参加者を増やすために設けられているものです。

なので、参加者に参加したいと思ってもらえるように編集されているという事を覚えておきましょう。

JICAの実績はキラキラと装飾されている

説明会で協力隊の話をするJICA職員の方や、登壇する帰国隊員の方々は、基本的に協力隊の良い所しか言いません。

 

閲覧できる資料なども同様です。JICAのボランティア事業の功績や実績などがあたかも多大な成果をもたらし、現地の人に本当に感謝されて、深い絆を結んだかのようにしか書かれません。

もちろん、ウソを言っている訳ではないのでしょうが、

見る人、聞く人が良い印象を持つように編集されている、という事ですね。

 

 

これはなにもJICAに限った事ではなく、どんな組織でも良く起こる事です。

「モンドセレクション金賞受賞」とよく似ていますね。

実績というものには権威性があります。

 

 

半ば無理やり支援や協力の提案をして、それを実績として大々的にアピールすればある程度の権威性を得ることが出来ます。

しかし実際に何をやったか、実際にどれくらい成果が出たのかはいささか疑わしい部分があるものです。

どんな組織でも、広報が失敗事例を大々的に公表することはあまりありませんよね。

 

途上国の写真は基本的に「映える」

  • 黒人の子供たちの笑顔の写真
  • 黒板を指さしながら、壇上で大勢の現地人に何かを説明している隊員の写真
  • 現地の人たち(子供)と一緒に撮った写真

これらはJICAの広報に使われる写真として鉄板であり

隊員のブログやSNSに使われる写真としても鉄板です。

 

その辺の黒人の子供たちを集めて、腕を組んで写真を撮って、SNSに投稿すればたくさん「いいね!」いいね!が付きます。

「○○さん、現地で充実した生活を送っているようだね!」

「素敵!」

と、たくさんコメントが付きます。

 

なぜなら、

こういう種類の写真はメチャクチャ「映え」るからです。

そして、受けては勝手に想像を膨らませます。例えば・・・

  • 貧しいながらにたくましく生きている→貧しくても心は美しい
  • 活動が上手く行っている。充実した毎日を送っている→海外で活躍していてカッコいい

みたいな感じでしょうか。

 

説明するまでもありませんが、写真を見て受けてが持つイメージと現実はかなり違います。

確かに写真は美しいですが、必ずしも真実を伝えているとは限りません。

そして、ネガティブなイメージを抱かせるような写真を見せようなんて誰も思いません。

 

登壇する帰国隊員は自分で手を上げて参加する

青年海外協力隊の任期を終えて帰国した隊員には、JICAから延々とメールが配信されます。

そのメールの中には、説明会や出前講座(地域の中学校や高校などに行って体験談を話す)への依頼などもあります。

説明会へ登壇者として参加するには、自分から立候補する必要があります。

つまり、説明会に登場する帰国隊員というのは全て自分で手を上げて壇上に上がっているという訳です。

 

数多くいる青年海外協力隊経験者の中で、自分から進んで手を上げて説明会の登壇者になろう、という人が「どういう人か」という事をよく考える必要がある、という事が言いたい訳ですね。

 

基本的には「青年海外協力隊の2年間が楽しくて充実していた」という人しか手を挙げないと思いませんか?

それは活動が本当に充実していた人かもしれませんし

単に海外や途上国が好きで、その国の生活が楽しかったという人かもしれません。

 

 

  • 活動があまりうまく行かなかった
  • 青年海外協力隊の2年間にモヤモヤを抱えて帰国した
  • 2年間が充実していなかった

という人は、説明会の登壇者に自ら進んで立候補することはない、という事です。

 

 

 

説明会参加者からの質問には「2年間で一番つらかった事、苦労したことは?」というお決まりの質問は必ずあると思います。

回答としては例えば、

十分な機材、道具が無かった、

生徒が授業に参加してくれなかった

などが挙がると思うのですが、最終的に努力と知恵を使って改善できたというサクセスストーリーになっているケースが非常に多いです。

 

 

努力と知恵を使ってほんの少しでも状況を改善できたならそれは素晴らしい事だと思いますが、

結局そういう成功事例も寄せ集めに過ぎない、という事を忘れてはいけません。

 

何も改善が出来なかった取り組みの方が圧倒的に大多数なのです。

これは隊員の力不足という訳ではなく、青年海外協力隊という立場であれば出来ないことの方が多いので仕方のない事なのですが、

「2年間税金を投入して派遣されて、何も成果を残せなかったです」

と正直に言うのはとても勇気のいる事ですよね。

普通はそんなこと言えません。特に説明会という舞台であればなおさらです。

 

そもそもそういう人は初めから説明会に立候補なんてしませんし、

ほんの一握りの成果を誇張して脚色して報告したくなるのは仕方のない事だと思います。

 

 

青年海外協力隊の活動というのは、圧倒的多数の「何も変わらなかった」で成り立っています。

しかし、クローズアップされるのはほんの一握りの寄せ集められた成功事例ばかり。

もしくは、ほんのちょっとの成果とは言えないような成果を脚色して成功事例に仕立て上げるかのどちらかです。

 

 

個人的には、「国際協力や技術移転として何も成果を残せなかった。だけど・・・・」という事にもっとクローズアップして欲しいと思うのですが・・・・

青年海外協力隊の説明会に参加する際の注意点

青年海外協力隊の説明会では、

青年海外協力隊の良い部分しか説明されない

悪いことは説明されない

という事をお話してきました。

どうしてこういう事をお話するかというと、

キラキラしたイメージだけを持って協力隊に参加して幻滅してやる気を失い、2年間を無駄に過ごす隊員

参加しなければ良かったと後悔する隊員

が必ず一定数いるからです。

 

青年海外協力隊に参加すれば、海外で活躍できる、あんな風にカッコよくなれると思うのは悪い事ではありませんが

 

そういう美しい一面だけを見て参加してしまうと、時間を無駄にして過ごしてしまう可能性はかなり高くなると思うのです。

 

青年海外協力隊の2年間で、人に誇れるような成果を出すのはかなり難しいと思います。

ほとんどの人が成果をあげることなどできません。ですが、とても成果とは呼べないような事を脚色し、成果として報告します。

 

2年間で国際協力・技術移転と呼べる成果なんて出来なくて当たり前で、それを恥じる必要などありません。

2年間の経験を通じて、その後国際協力や技術移転で活躍している人も実際にたくさんいます。

帰国後に経験を活かして活躍するチャンスはいくらでもあるのです。

あくまでも本番は帰国した後。

 

私はここが重要だと考えています。

説明会では青年海外協力隊の2年間だけに着目するのではなく、その後どういう仕事をして、どういう活動を行っているのかにも着目してみて下さい。

 

2年間だけに着目しても、どうせキラキラと脚色されたキレイな部分しか見えません。

青年海外協力隊は2年間だけ、という考えではなく、その後の人生に活かすためのステップに過ぎないという考えを持って説明会に臨むことを強くお勧めします。

まとめ

青年海外協力隊の2年間は本番ではないので、脚色された協力隊の2年間だけに注目してもあまり意味が無い。
協力隊は思うほどキラキラしていないし美しくないという事を念頭に置いた上で参加すれば、得られるものは違うはず

以上が今回の私の主張です。

 

私自身は青年海外協力隊に参加して人生が大きく変わりましたし、参加して良かったと心から思っています。

ですが、もっと2年間を有意義に使えばよかったとも思っています。

なぜ2年間をあまり有意義に使えなかったかというと

青年海外協力隊=国際協力・技術移転という事に固執して、2年間で成果を出すことにこだわり過ぎていた時期があったからです。

 

本番は帰国後という意識をはじめから持っていれば、もっと出来る事があったのではないかと思っています。

 

 

このサイトでは、JICAが口にしない青年海外協力隊の本当の意義や実態に関して、元協力隊隊員の立場で意見を述べています。

他にも参考になる記事があると思いますので、良かったらご覧になって下さいね。