長期と短期、一体どっちに参加すればいいのだろう?
今回は「短期の青年海外協力隊」というテーマでお話します。
青年海外協力隊といえば、2年間開発途上国で生活するというイメージが強いかと思いますが、実を言うと1年未満の短期の案件というものも存在します。
あまり一般的に知られていない短期の青年海外協力隊ですが、短期派遣の特徴を生かして制度を上手に利用する、というのも考え方の一つだと思います。
今回に記事では、短期青年海外協力隊の簡単な概要や、長期派遣経験者の視点から見る短期派遣のメリット、デメリットなどについてお話していきます。
短期青年海外協力隊 概要
派遣期間について
短期の青年海外協力隊の派遣期間は1か月~1年未満とされています。
1か月程度の超短期の案件も多く、大学生が休みを利用して参加をするというケースも多いようですね。
ちなみに私が派遣されていた国にも短期ボランティアの方が数名いらっしゃいましたが、派遣期間は6か月という方が多かったです。
(3か月延長して計9か月という方もいました)
1か月派遣の学生さんとも会ったことはありますが、同じ任地の長期派遣のボランティアが宿泊先や活動先に関してフォローしていたみたいですね。
さすがに訳の分からない国に来ていきなり活動を始めるのはハードルが高すぎますので、JICA事務所のフォローはしっかりとしていると思いますのであまり心配は要らないかと思います。
短期青年海外協力隊の給料は?
現地での生活費として「日当」というものが支給されますが、建前としては「給料」や「報酬」ではないとされています。
まあ、大人の事情、というヤツですね。実際は給料のようなものと思っても差し支えありません。
日当の額は派遣国や地域によっても異なりますが、月額8~13万円とされています。
もちろん宿泊費や渡航費などは別途支給されますし、それ以外にも場合によっては国内手当や8万円程度の準備金も支給されます。
まあ、JICAボランティアに関してはお金の心配をする必要はあまりありません。
長期でも短期でも、ボランティア調査員のような仕事でも、海外派遣される仕事であれば基本的に日本で仕事をするよりも「割がいい」と考えていいかと思います。
派遣前訓練はある?
短期ボランティアには長期ボランティアのように70日間の派遣前語学訓練はありませんが、
4~5日間の簡単な訓練があります。
4~5日、というのは
- はじめてJICAボランティアに参加する人は5日
- 隊員経験者などは4日
という感じです。
場所は福島県の二本松訓練所で行われているようですね。
講義の内容も途上国での健康管理や交通安全など、派遣国で生活するために最低限必要な知識やJICAのボランティア事業に関することをを学ぶという内容になっています。
70日の訓練にある、野外訓練やスポーツ大会などはもちろんありません。
短期の青年海外協力隊にはどんな職種がある?
短期の青年海外協力隊は、長期のように2年間という時間をかけて配属先の問題点を改善していく(あくまで建前上)という種類のものではありません。
なので、どちらかというと、派遣されてすぐに活動に入り、即戦力になれるような職種が多いかと思います。
即戦力になれる職種、というとイマイチピンとこないかもしれませんが、
要は「とりあえず技術を教えればOKな職種」という事ですね。
指導する対象がいて、対象である人たちに指導をすればOK。
人間関係や配属先のしがらみをあまり考慮しなくて良いので非常にシンプルなのではないでしょうか。
もちろん職種に関する技術以外にも「心構え」的なものを教える必要はあるかと思いますが、
派遣されてもやることが無い
時間をかけて自分で活動を作って行く
というような「青年海外協力隊あるある」は短期ボランティアには当てはまらないと思います。
具体的にはスポーツ系の職種です。実際に短期派遣だとスポーツ関連の要請が多い印象です。
他にも、料理や日本語教育で派遣される方にもお会いしたことがあります。
コミュニティ開発や青少年活動といった青年海外協力隊定番の職種もあるようですが、要請内容にやや専門性が問われる場合が多く誰でも応募できる、というものは少ない印象ですね。
短期の青年海外協力隊は学生が多い?
1か月程度の短期派遣であれば学生でも気軽に参加できますよね。実際に大学生が派遣されるケースはかなり多いと思います。
職種はやはり野球、サッカー、柔道、陸上などのスポーツ系の職種が中心になるかと思います。
短期派遣であれば、同じ配属先に複数名派遣されるケースもあるようですね。
3か月、半年となるとやはり社会人の参加者になりますが、
まあ、このあたりは特にこだわる必要はないかと思います。
2年間の長期ボランティアでも休学して参加する大学生もいますからね。
参加資格を満たしていれば、どんな立場の人が参加しても問題ないでしょう。
1か月程度なら参加のハードルも低いので、ちょっとした旅行気分で行くのも全然アリではないでしょうか。
ちなみに、私の知る短期ボランティアは、皆さん2年間の長期派遣の経験者でした。
一度長期の青年海外協力隊で2年間の派遣を経験したら、「また途上国に行きたいけど、もう短期で十分でしょ」と考える人が多いみたいですね。
短期の青年海外協力隊のメリットとデメリットは?
短期派遣と長期派遣を比較するといくつか違いが見られますが、
初めての方は短期と長期、どっちに参加するべきか悩んでいる方も多いのでは?
ここでは私の考える短期青年海外協力隊のメリット、デメリットについてお話しますので参考にしてみて下さいね。
短期派遣のメリット
「短期」という特性上、2年間の派遣と比較したら参加へのハードルが低いのが最大のメリットでしょう。
長期の青年海外協力隊で2年間派遣される、というのは誰にとっても大きな決断になるはずです。
しかし、1か月~3か月程度なら「お試し感覚」で途上国の生活を「体験」することが出来ますので、
長期の青年海外協力隊への参加を考えている人にとっては自分に合っているかどうかを判断のにも有効です。
開発途上国というのは多くの日本人にとっては未知の世界。
インターネットである程度の情報は得られるかもしれませんが、実際に生活して初めて分かる事の方が多いのは間違いありません。
事実、2年間の長期派遣に参加して「来る前のイメージと全然違った」と感じる人がどれほど多いことか・・・
たとえ1か月でも、実際に行って生活してみれば多少は見えてくるものがあるはずです。
それに、2年間派遣された人の多くは1年経ったあたりで「もう十分」と思う場合が多く、活動も惰性になってしまいがち。
実際に「2年間を棒に振ってしまった」と思う人も少なくありません。
そういう意味ではより限られた時間の中で短期集中で活動をした方が充実できるかもしれません。
派遣国には長期派遣の青年海外協力隊隊員もいると思いますし、接する機会もあるはずですので色々聞いてみるのも良いかと思いますよ。
短期派遣のデメリット
私が考える「一番の短期派遣のデメリット」は、「派遣前語学訓練がない」という事です。
2年間の長期派遣なら70日間の語学訓練がありますが、これは青年海外協力隊の醍醐味の一つだと思います。
一生ものの付き合いになり得る、たくさんの訓練生との出会いがあるからです。
同じ生活班や語学クラスの人たち、同じ国に派遣される同期とのつながりはかけがえのないもので、私はその為だけに青年海外協力隊に参加するのもアリだと思っている位です。
他にデメリットを上げるとしたら、「派遣国の事をあまり分からないままで終わってしまう」という事でしょうか。
もちろんたったの1か月でも実際に行ってみる事で分かることはたくさんありますが、国民性や文化、政治、経済などより深いところまで理解するのに1年。
自分はこの国の事を良く知っていると胸を張って言えるようになるには2年は必要だと思います。
要は、短期の派遣では「にわか」で終わってしまう、という事ですね。
とは言え、それがデメリットになるかどうかは微妙なところです。
別にその国の事をそこまで深く知る必要はないと思いますし、
私自身3年以上同じ国に住んでいましたが、まだまだ分からない事だらけですから。
語学力が身に付かないから、などを理由に悩む方もいるかもしれませんが、勉強しなければ2年住んでも語学力は大して身に付きません。
大切なのは期間ではなく、「自分で勉強するかどうか」です。
ちなみに6か月以上の派遣で任国外旅行もすることが出来ます。参考までに。
まとめ
今回は、短期青年海外協力隊についてお話しました。
短期青年海外協力隊は、
ちょこっとだけ開発途上国を体験したいという人や、長期の青年海外協力隊に参加したいと考えている人にとっては良い制度だと私は思います。
別の言い方をすると、「ちょこっと体験してみる」くらいの参加動機で良いかと思います。
派遣して成果を残さなくては、とか、これは国際協力だ、とか、小難しいことはあまり考える必要は一切ありません。
私自身、2年間の青年海外協力隊も「国際協力の体験」、言葉を選ばずに言えば、「国際協力ごっこ」に過ぎないと思っています。
そんな国際協力ごっこに2年間も費やすのはちょっと勇気が要る、と感じる人は、まずは短期から参加してみるのも悪くないと思いますよ。
※例え青年海外協力隊が国際協力ごっこだとしても、参加するメリットはたくさんあると思います。
仕事を捨てて青年海外協力隊に行って、何かメリットあるの? 青年海外協力隊とは何か?と言われて 2年間発展途上国に行って、ボランティア活動をしてくる という漠然としたイメージしか思い浮かばない人はたくさんいるでしょう。 […]
ただし、短期派遣は職種や要請が限られますので、自分に該当する職種があるかどうかは運次第かもしれませんが・・・
今回は以上です。