青年海外協力隊の「任期短縮」とは?
JICA青年海外協力隊の任期は原則2年間。
もともと1年以内の短期要請もありますし、3年まで延長を申請することも出来ますが、
任期短縮というのは、文字通り本来の任期終了を待たずして途中で活動を終了し、日本へ帰国することを言います。
何かしらの事情があって任期短縮をする隊員は一定数いますが、
任期短縮という決断を下すにはかなりの葛藤があったのは間違いないでしょう。
多くの隊員にとって、青年海外協力隊への参加は人生における一大決心だったはずです。
訓練所で出会った仲間たちとの事や見送ってくれた家族や友人の事を考えると、
2年間を全うせずに帰国してしまう事に後ろめたさを感じるのは仕方のない事なのかもしれません。
任期短縮と言っても様々なパターンがありますが、例として挙げると以下の通りになります。
- パターン① 他にやりたいことが出来た
- パターン② 病気やケガ
- パターン③ 現地でのトラブル
- パターン④ 特別任期短縮
- パターン⑤ 妊任短
それでは順番に見て行きましょう。
青年海外協力隊 任期短縮のパターン
任期短縮のパターン① 他にやりたいことが出来た
青年海外協力隊の活動以外にやりたいことが出来たという理由で任期短縮する人は結構います。
今すぐ自分の本職に戻って、早く成長したいと思い任期短縮する人もいれば
現地で起業の目途が立ったので任期短縮し、また任地に戻ってくるという人もいます。
また、青年海外協力隊の活動は「時間の無駄」と感じて帰ってしまう人もいますね。
割り切る人はさっさと割り切って任期短縮申請してしまいますし、
悩みに悩んで周りの隊員に相談して決める人もいます。
任期短縮のパターン⓶ 病気やケガ
病気やケガで任期短縮を強いられる隊員もいます。
よっぽど重い病気やケガだと思うかもしれませんが、
意外とそうでもないので注意が必要です。
私の知り合いで、任期短縮になってしまった隊員がいました。
現地で酒を飲んでいたら、急にひきつけを起こして病院に運ばれたそうです。
その後、検査をしても異常は見当たらなかったのですが、念のため日本で精密検査という事で一時帰国。
・・・・・のはずが、そのまま現地に帰ってくることはなかったそうです。
本人はピンピンしていて体調も問題ないように見えますが、
原因が特定できないので復帰の許可が得られなかった、という事ですね。
もちろん、実際にまた何かが起こって取り返しのつかない事になる可能性がある事を考えれば、
正しい判断なのかもしれません。
ただ、自分の選択ではなく、任期短縮を強いられるというのはとても残念な事だったかと思います。
他には、
- 任地が寒すぎて体調を崩してギブアップした
- 数匹の犬に襲われて日本に緊急帰国
という話を実際に聞いたことがあります。
また、うつ病など、精神的な病になってしまった場合は、日本で診断したとしても戻ってくるのは難しいとされているようですね。
任期短縮のパターン③ トラブル
トラブル、と言っても色々あるかと思いますが、よく耳にするのは
女性隊員と現地人男性の恋愛関係のもつれ
です。
以前、日本ではあまり男性に興味を持たれないであろう女性は現地で彼氏を作る傾向が強い
といった内容の記事を書きましたが、
現地で男性にちやほやされてちょっとおかしくなってしまう女性隊員がたまにいます。
ですが・・・
DV男とか、男尊女卑的な考えを持つ男性ってやっぱりいるようで
トラブルに発展するケースもあるみたいです。
このようなトラブルをきっかけに任期短縮した人もいます。
任期短縮までは行かなくても、ストーカーなど似たようなケースで任地変更を強いられたというケースもありました。
少なくとも、私の国にいる黒人男性は日本人男性の目から見て
「日本人なら、もしくは外国人なら、女性なら、誰でもいいと思っている」
としか思えないような人たちばかりでした。
同じ任地に他の隊員がいればまだいいのですが、女性一人ということもありえます。
現地人との恋愛は私がとやかく言う事ではありませんが、
性犯罪のターゲットになる事も十分あり得ますので、
ちょっとばかりちやほやされてもあまり有頂天にならないように、あくまで冷静な部分も保つように気を付けましょう。
任期短縮のパターン④ 特別任短
例えば、帰国日が1月、年明けすぐになる3次隊で多いと思うのですが、
配属先が学校なら12月に入ってすぐに1か月間のターム休みに入ってしまう場合があります。
12月活動がないので、居ても意味が無いのでもう帰ってしまうという人は結構います。
これを「特別任短」と呼んでいますね。
休みの期間、バカンスに費やすのも一つの方法ですが、早く帰って就職活動したいなどの理由があれば、さっさと帰って時間を有効に使った方がいいかもしれませんね。
任期短縮のパターン⑤ 妊任短
ご存知の方も多いと思いますが、
妊娠しての任期短縮を「妊任短」と呼びます。
相手が現地人であろうが日本人であろうが、
妊娠が発覚したら強制的に任期短縮になりますので、(もちろん母子の安全のため)活動を継続したいと考えている人は気を付けましょう。
任期が終わってすぐ現地人と結婚し、子供を産んだ知人がいましたが、逆算すると任期中に妊娠はしていたようですね。
このあたりを「国民の税金を使って何やっているんだ」と非難する人も多いと思いますが、
別に恋愛や性行為くらい、するのは普通の事だと思うのですが・・・・
JICAやメディアが青年海外協力隊をなにか特別なものであるかのように、ストーリー性を持たせて宣伝や報道をしているだけであって、
青年海外協力隊の実態は発展途上国に行って組織に属して仕事をする。
それだけの話です。
公務として海外に滞在する大使館関係者の人だって恋愛もすればデートも性行為もすると思うのですが、何か違いがあるのでしょうか。
任期短縮でも、事情によっては任期満了の証明がもらえる場合も
任期短縮した場合でも、任期を満了したという証明がもらえる場合があります。
次の就職先に派遣証明書を提出する場合に、もしかしたら優位に働くかもしれません。
例を挙げると・・・
残り半年の任期を残したものの、検査を理由に帰国してそのまま任期短縮になってしまったケースで、任期満了の証明がもらえたようです。
このあたりに関しては厳密に規定が設けられているのかは不明ですが、残りの任期が少ない場合ややむを得ない事情での任期短縮では考慮してくれるのではないかと思います。
気になる方は企画調査員に相談してみるといいでしょう。
青年海外協力隊が任期短縮するのはいけないことなの?
冒頭でも述べましたが、
任期短縮の決断は重大な決断だと感じる人が多いようです。
周りの隊員も、少なくとも「大したことではない」とは思っていないと思います。
○○が任期短縮したらしい、という噂はなぜか他の国にも届きますからね。
任期を全うせずに帰るのはバツが悪いと感じるのかもしれませんし、
他に行きたかった人もいたはずなのに、と罪悪感を感じるのかもしれません。
私も元隊員ですのでそういう「任期を全うしたい」という気持ちは非常によくわかりますが、
終わってしまえば、任期短縮など、なんてことはありません。
同期の仲間たちも、任期短縮したことなんてすぐに忘れて、今までと同じように接してくれるはずです。
任期短縮なんて本当に些細な事だし、2年を全うすることもそれほど尊い事ではありません。
強いて言うなら、やはり青年海外協力隊としてしか体験できないことはあると思いますので
その機会を失う、という事はあるかもしれません。
協力隊に対する価値観は人それぞれ違うと思いますが、
青年海外協力隊に参加して、2年間発展途上国で過ごすことは別に偉い事でもスゴイ事でもありません。
繰り返しになりますが、JICAや新聞、メディアがあたかもとんでもない大冒険に旅立つかのようにストーリー性を持たせているに過ぎません。
- 他にやりたいことが見つかったり、
- 途上国でしか経験できない事に価値を見出せなかったり
- 活動に意味を感じられないのであれば
「任期短縮した方がいいんじゃないか」という考えはおおむね間違っていないと思います。
堂々と任期短縮の申請をしたらいいと思いますよ。
それに、充分分かっているかと思いますが、
誰が任期短縮しても誰にも迷惑をかけることはありませんし、
誰も困りません。
誰であろうとです。
この点では職場を退職するのとは状況が全く異なります。
なので、深く悩む必要一切ありませんし、後ろめたさを感じる必要もありません。
青年海外協力隊の任期短縮 まとめ
青年海外協力隊という事業が大げさに露出されるのは、プロモーションである以上は仕方のない事だとは思います。
が、そういう誇大広告にプレッシャーを感じて、任期短縮をためらい貴重な時間を無駄にするのは非常にもったいない事ですよね。
私は青年海外協力隊の活動には十分意味はあると思いますし、参加して良かったと心から思っています。
しかし、2年を全うする事自体には特に意味を感じていません。
2年ってあっという間ですけど意外と長いですからね・・・
もし任期短縮で悩んでいる人がいたら、参考にいていただけたらと思います。
最後になりますが、訓練所で同じ生活班だった隊員が任期短縮しました。
私は彼の派遣国と帰国便が同じだったのですが、彼は地方から成田空港まで出迎えに来てくれました。
そんな感じで、同期であることも、同じ生活班や任国の仲間であることには変わりありません。
自分の決断に自信を持って堂々としていただければと思います。