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青年海外協力隊 うつ病になる人っているの?

過酷な環境に耐えられず、うつ病で帰国してしまう隊員がいるって本当?
今回は「青年海外協力隊とうつ病」というテーマでお話します。
青年海外協力隊が派遣される国は基本的に日本の生活とはかけ離れた毎日が待っている「開発途上国」。
言葉もちゃんと通じない、場合によってはお湯も電気もままならない。好きなものも食べられない。
そんな環境に放り込まれて本当に大丈夫かどうか、心配な方もいるのではないでしょうか。
先に結論からお話します。
青年海外協力隊にかぎらず、開発途上国で働いていてうつ病になり、日本へ帰国する人は一定数います。
青年海外協力隊は比較的うつ病になる心配は少ないかもしれませんが、どんな事にストレスを感じて、どんなことに悩むかは人それぞれ違います。
実際にうつ病になってしまった人のケースも紹介しますので、是非参考にしてみて下さい。




そもそも「うつ病」とは?

うつ病というのは一言で言い表すのが非常に難しい病気ですので簡単に説明しますが、ストレスやプレッシャーなど様々な要因から脳にトラブルが生じている状態を指します。

 

  • 憂鬱な気分が続く
  • 食欲や睡眠欲をはじめとした様々な「意欲」が低下する
  • 自分はダメな人間だと思うようになる
  • 物事の見方が否定的になる

といった症状に加えて、身体的な自覚症状が生じることもあります。

うつ病にも様々な種類があり、原因も仕事や人間関係のトラブルなど様々です。

 

私の周りにもうつ病と思われる症状を発症した知人が何人かいましたが、

  • 夜、全く眠れなくなる
  • 車を真っ直ぐ運転が出来なくなる

などの症状がありました。

青年海外協力隊でうつ病になる人はどんな人?

一般的には、

  • 義務感が強く、仕事熱心
  • 完璧主義・几帳面
  • 常に周りに気を配る人

こういう人は普段から脳が使うエネルギーが多いので、何かをきっかけに脳のエネルギーが足りなくなり、うつ病を発症する危険が高いとされているようです。

青年海外協力隊にもこれに当てはまる人は多いと思いますが、(同期の顔が浮かびませんか?)

そうでなくても、誰だって派遣された直後は

  • 成果を残さなければならない
  • 日本を代表して来ている
  • みんなが応援してくれている

という感じでやる気に満ち溢れていると同時に、責任感やプレッシャーを感じる事があるのではないでしょうか。

 

 

しかし、いくら努力して労力を投入しても上手く行かない現実に

  • 自分は何しに来たのだろう
  • 自分は何も役に立ってない

こんな風に壁にぶつかってしまうの青年海外協力隊にとっては定番中の定番です。

とりわけ普段から責任感が強く、熱心に活動に取り組んでいる人は心のネジが外れてしまう事があっても不思議ではないと思います。

 

しかし、青年海外協力隊の大半の人はペースを緩める事で対処することが出来ると思います。

なぜなら、

  • 青年海外協力隊は成果を出さなくても咎められることは無いから
  • 自分の無力さ、というより明らかに相手に問題がある場合が多いから

です。

「自分は役に立たない」と考えるよりも、「活動なんて意味ない」と思うのが先、という人が多いのではないでしょうか。

そうなれば組織の仕事と違ってプレッシャーを感じることもありませんからね。

 

しかし、一部の「自分は役に立たない」と本気で思ってしまうような人、あきらめずに活動に全力を尽くすような人ほど、精神的に追い詰められてしまう可能性が高いのかもしれません。

民間とJICAの大きな違い

私自身、青年海外協力隊として派遣されていた、自分で開発途上国に渡航して起業した、という2つの経験がありますので、ストレスやプレッシャーという観点からその違いをお話します。

 

起業と協力隊の違い① 成果を出さなければ、帰れないかもしれない

開発途上国に自分で渡航をして起業するとなると、全ては当然自己責任です。

成果を出さなければ生きていけないし、大きな病気やケガをしたらおしまいです。

ヘタしたら日本に帰ることが出来なくなる可能性もあります。

 

なので必死に仕事をやることになるのですが・・・・

必死にやればやるほど、「開発途上国」という事が重くのしかかってきます。

具体的には

相手の業者が納期を守らない、業者のクオリティが低い、大事な時に停電やインターネットがダウン

といった種類の事ですね。

隊員なら自分がイライラするだけで済みますが、これが仕事なら自分の利益に直結しますからね。

起業と協力隊の違い⓶ 青年海外協力隊はひとりじゃない

青年海外協力隊というのは同じ国、周りの国、そして世界中に同じような状況下にいる「仲間」がたくさんいます。

 

一方、開発途上国で起業、というと、そうではありませんよね。同じように起業している日本人はいるかもしれませんが・・・・この違いの大きさを、起業してから始めて実感しました。

 

私の場合は一人でしたので、「日本から離れた孤独感と疎外感」が圧倒的でした。

特に日本に一時帰国して家族や友人に会った後は心中かなり複雑でした。日本を離れてこんな国に一人でいる事に恐怖を覚えたこともあります。

 

自分はこんな事をしていて本当に良いのだろうか。

その葛藤は青年海外協力隊の時とは比べ物になりませんでした。

 

起業と協力隊の違い③ 自由がある分、責任もある

私の現地起業の話はまた別の機会に紹介しようかと思いますが、

VIZAの取得、従業員の雇用、納税などすべて自分でやらなければなりません。

そのような雑務をこなしながら、成果もあげて行かなければならない。

 

一方、青年海外協力隊は活動に出来るようにJICAのサポートも充実していますし、充分な余暇もあります。

うつ病になって日本へ帰った人の状況

私と同じように、元協力隊で任期終了後に開発途上国で起業した知人がいました。

始めに少し触れましたが、突如、夜、全く眠れない状況が何日も続き、残念ながら日本に帰国しました。

 

その人のケースでは、原因は「根の詰め過ぎ」ですね。

金の工面、現地の業者とのやり取りへの苛立ち、たった一人で運営している状況、未来への不安。

そして、ストレスを発散する手段が極端に少ない。

 

気持ちが張っている時はあまり感じなくても、何かのきっかけで気持ちが切れたら一気に精神的に崩れてしまい、もう修復することは出来ませんでした。

 

気持ちが切れる要因にも色々あると思いますが、特にスタートアップの企業では「未来への希望」がカギを握っていると思います。

政治的にも経済的にも先行きが不透明なアフリカ諸国では、突然未来への希望が見えなくなってしまう事もあるものなのです。

協力隊とはあまり関係がないかもしれませんが、事例として参考にしてもらえたらと思います。

 

青年海外協力隊がうつ病を防止するために

青年海外協力隊が検査などの理由で一時帰国する場合、精神的な要因が絡んでいたらもう任地には戻れないと思った方がいいでしょう。

その位、JICAは心の不具合に対しては敏感になって取り組んでいると思います。

2次試験の人物面接も、ストレスコントロールに対する質問がかなり多いですからね。

 

あまり根を詰め過ぎず、適度に力を抜いて活動すること

リフレッシュできる時は旅行なり、スポーツなり、外食なり、お酒なりでリフレッシュすること

悩んでしまうときは動機やJICAの調査員、日本の友人などに話して、日本語を使う事

 

このあたりがうつ病を防止するために大切なことだとは思いますが、

自分を過信し過ぎない事

というのも付け加えておきます。

 

自分に自信を持って毎日充実した活動を送っていても

何の前触れもなく、本人も自覚症状がなく、しかしある日突然おかしくなってしまった人を実際に見ているからですね。

 

 

活動を休んでも、配属先に詰められるようなことは無いはずです。

JICAにも、活動内容に対して厳しい言葉を掛けられることはまずないと思います。

それに、文化の違い、生活習慣の違いによるストレスは自分でも気づかないうちに自分の中に蓄積されていくものだと思います。

 

日本の税金を使って派遣されている事に対して責任を感じるのは悪い事ではありませんが、

あまり頑張らないでも大丈夫ですので、くれぐれも無理はしないようにして下さい。

まとめ

多くの人にとって、うつ病は「自分とは関係のないもの」という認識が強いのではないかと思います。

私自身、青年海外協力隊時代に精神的に追い詰められるような事を感じたことはありません。

しかし、自分自身の事はなかなか自分では分からないもの。

特に発展途上国の生活で感じるストレスは思っている以上にチリツモなのだと思います。

 

 

うつ病というのは誰がなるか分からないし、誰がなってもおかしくないものだと思います。

この記事をきっかけにうつ病を他人事にせず、ストレスマネジメントを考えるようになってくれれば幸いです。