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青年海外協力隊はクラウドファンディングで資金調達できる?

配属先の為に、クラウドファンディングで資金を調達したいのだけれど・・・・
今回は「青年海外協力隊とクラウドファンディング」というテーマでお話します。
配属先を良くしたい!現地の人たちのために何かしたい!
青年海外協力隊の皆さんはそんな思いを抱えながら日々の活動に取り組んでいる訳ですが、
真剣に考えれば考えるほど、「結局お金が必要」という壁に当たることが多いのではないでしょうか。
そこで思い当たるのが「クラウドファンディング」でしょう。
青年海外協力隊には現地業務費をはじめとする制度がありますが、意外と制約が多かったりしますからね・・・
先に結論からお話すると
青年海外協力隊の任期中にクラウドファンディングで資金調達する例はほとんど見られません。
「青年海外協力隊 クラウドファンディング」で検索してみると、ほとんどのプロジェクトが「元青年海外協力隊」によるものです。
しかし、完全にNGとされているかというと、今のところそういう訳ではなさそうですね。
クラウドファンディングに関心のある現役隊員の方は参考にしていただければと思います。

途上国のクラウドファンディング事情について

まず始めに、派遣国でのクラウドファンディングのプラットフォームについて簡単にお話します。

 

青年海外協力隊がクラウドファンディングで資金調達しようとする場合、

ほとんどの人が「CAMPFIRE 」や「Ready For」といった日本国内のプラットフォームを利用することを前提にしていると思いますが、「現地にクラウドファンディングのプラットフォームがないか」調べてみる人も少なくないのでは?

 

もし現地や世界的なクラウドファンディングのプラットフォームを利用できれば、現地の人たちが自らプロジェクトを立ち上げて資金調達できる可能性もありますもんね。

 

しかし、残念ながら、このアイデアはあまり現実的ではありません。

 

アフリカに関して言えば、多くのプラットフォームは南アフリカ共和国やナイジェリアなどに集中しており、多くの国にはプラットフォーム自体が存在していません。

 

私の派遣国には一応クラウドファンディングのプラットフォームは存在していましたが、ウェブサイトを閲覧したところ、一目で「機能していない」とわかるような代物でした。

 

機能していない、というのは認知度が低く誰もそのサイトを閲覧していない、プロジェクトもほとんど無い、という事ですね。当然、支援は全く集まっていませんでした。

世界的なクラウドファンディングのプラットフォームであっても、開発途上国では

  • その国の人たちが利用資格を満たしていない(特定の銀行の講座など)
  • 支援してくれるであろう人たちが、支払い条件を見たしていない(クレジットカードなど)
  • 国家規制でクラウドファンディングの利用が制限されている場合も多い

という事情もあるようです。

 

もちろん今後は普及していく可能性は大きいですが、今のところ開発途上国ではクラウドファンディングのプラットフォームが整っていない国が大半ですので、やはり日本国内のプラットフォームを利用するのが一番現実的かと思います。

 

JICAとしては、クラウドファンディングでの資金調達はNGなの?

ほとんどの事例では、任期終了後の「元青年海外協力隊」としてプロジェクトを立ち上げていますが

中には現役の隊員がプロジェクトを立ち上げて資金を募っている例もない訳ではありません。

現役の隊員のクラウドファンディング例

 

なので、JICAとして青年海外協力隊がクラウドファンディングを利用することは禁止されている、という訳ではなさそうですが・・・その判断は各JICA事務所にゆだねられているのか、「ここの国ではダメ」と言われてしまう場合が多いようですね・・・・

現地の配属先の状況を改善するには、

お金を使えば一番手っ取り早い

もしくは、お金が無ければ話にならない 

というケースは非常に多いと思います。

 

 

例えば、スポーツ系の職種であれば、新しいボールや道具があった方が良いのは間違いないし、大会や遠征に連れて行った方が言いに決まっています。

クラウドファンディングでの資金調達なら現地業務費のように税金を使う必要もないし、支援する側にとってもされる側にとってもデメリットは存在しません。

 

日本の母校の中学や高校から使い古した道具を寄付してもらうのはいいのに、

どうしてクラウドファンディングはダメなのか

こんな非合理的な事に納得できない人も多いかと思います。

というより、「どうしてモノの寄付は良くてカネの寄付はだめなのか」と問い詰めたら、納得できる理由を説明できる人はいないんじゃないですかね・・・

 

しかし、「お金が無くてもできる事をするのが協力隊」という思考停止な答えをもらうことが多いのではないでしょうか・・・

クラウドファンディングはどうしてダメ?

クラウドファンディングという仕組み自体まだまだ歴史が浅いので、JICAとしても返答に困る部分はあるかもしれませんが、

JICAとしては、やはり「お金で解決することよりも、お金を使わずに困難に立ち向かう過程」に重きを置いているから、というところだと思います。

現地の人にとって見れば、ODAだろうがクラウドファンディングだろうが、お金を恵んでもらってることには変わりないですからね。それでは改善は出来ても成長はしない、といった所でしょう。

 

個人的な意見としては、ナンセンスだと思います。

理由としては

  • クラウドファンディングで資金調達するにもスキルが必要だから
  • そして、現代ではそのスキルの重要性が高まっているから

ですね。

 

クラウドファンディングに必要なスキル

クラウドファンディングで資金調達するにはどのようなスキルが必要なのでしょうか。

  • 文章力
  • 発信力
  • 影響力

などが挙げられるかと思います。

 

特にクラウドファンディングではSNSのフォロワー数がモノを言う部分もあります。これは現代ではその人の「影響力」と言ってもいでしょう。

言葉を選ばずに言えば、フォロワーの数が金になる時代です。フォロワーの数もその人の立派な能力や財産、という事ですね。

つまり、いかにフォロワーを増やすか、フォロワーを増やすために、いかに価値のある情報を発信できるか、という事はこれからの時代非常に大切という話です。

 

後は、やはり情熱の伴わないプロジェクトは失敗する可能性が高いかと思います。

 

私もクラウドファンディングの原稿を書いて欲しい、と依頼を頂くことがあり、10本程度プロジェクトに関わった事がありますが、

中には「全く中身が無くて、どうやっても資金が集まる訳がない」、というようなプロジェクトもありました。

(そもそも自分がやりたい事なんだから、自分が一番いい文章書けるでしょ、と思うのですが・・・)

 

自分がやりたい事<お金を集めたい

という人、つまり、お金を集める事が一番先に来てしまっている人は、自分が何をやりたいかも上手く説明できず、プロジェクト内容がスカスカな場合が多い気がしますね。

 

いずれにしても、クラウドファンディングはただ単にプロジェクトを立ち上げるだけで資金が集まるというものではありません。

魅力的な文章を書いたり、場合によっては動画を撮って編集したり、プロジェクトを拡散したり、リターンを考えたり、とやる事はたくさんありますよね。

 

そして、その経験は絶対にその人を成長させると思うんですよね・・・・

 

金で全て解決なんてできない

それに、クラウドファンディングで資金を調達できたとしても、それだけで現地の状況が全て良くなるという訳ではありませんよね。

知恵を絞って、現地の人と協力してやらなければいけないことはたくさんあるはずです。

資金調達して、例えば機材を購入したとして、

  • その機材を壊したりしないか
  • 売ってしまったりしないか
  • 管理の仕方をちゃんと指導できるか、

そういった管理もしていかなければいけません。

 

 

お金を集める前にやれることがある、という意見もありますが、

お金が無ければ始まらない、という状況もあるでしょう。

 

PCインストラクターなのに、配属先にパソコンが無い・・・・これでは活動のしようがありませんよね・・・・

2人で1台よりも、1人1台あった方が生徒の為になるのは間違いないでしょう。

 

2人で1台使って授業することを「お金が無いなりに工夫している」と美談にすり替えるのは違うと思うのですが、青年海外協力隊ってそういう「合理性よりも努力が美しい」みたいな風潮あるじゃないですか。

 

もしそういう考えを持っている人がいるのなら、今後変わっていかなければいけないのでは、と思います。

 

お金があってようやくスタート地点に立てる というケースも必ずあるかと思いますので、クラウドファンディングを禁止するのはやはり時代遅れでナンセンスだと思いますね・・・

ほとんどの隊員は、任期終了後にクラウドファンディングを立ち上げている

2年間の任期を終了して、「これからも現地の人の役に立ちたい」という気持ちで、起業という形で現地に関わり続ける人も一定数います。

 

実は私自身も

「現地の人に技術を教えながら働いてもらう環境を提供したい」という気持ちがあり、帰国後に再渡航して起業したという経緯があります。

 

 

私自身はクラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げたことはありませんが、

同じような立場の人の多くはプロジェクトを立ち上げて資金調達をしているようですね。

 

さて、

 

自分を含めて現地起業している元青年海外協力隊の多くは、このような気持ちを少なからず持っているかと思います。

青年海外協力隊ではやれることが限られている。協力隊では出来なかったことをやりたい

 

そして、その「できなかったこと」というのはお金が必要な事だったりするのかな、と思うのです。

 

何が言いたいかというと

  • 帰国後も力になりたいと思っていても、みんなが現地に関わり続けるとは限らない
  • 「協力隊時代にできなかった事」がもし協力隊時代にできていれば、現地起業する必要なんてなかったかもしれない

 

という事ですね。

 

もっと現地の助けになりたいと言っても、任期終了後は日本で就職する人が大半でしょうし、既婚者で子供がいて、となると現地で起業するハードルはグッと上がるでしょう。

 

協力隊時代にやれると思う事を全てやっていれば、本人には現地起業だけではなく他の選択肢もあったかもしれませんし、企業をするにしてもより効率よくスタートアップに入れるかもしれません。任期終了前に見切りを付けることが出来たかもしれません。

 

正当な理由なしでクラウドファンディングを禁止することは

活動に未練を残させることにつながる可能性があるのかな、と思います。

それがその人のその後の人生に影響を与えるとすれば、あまり無視はできないのでは、と思いますね・・・

青年海外協力隊とクラウドファンディング まとめ

今回のポイントです

青年海外協力隊でクラウドファンディングを認められる例は非常に少ない
クラウドファンディングが禁止される、納得できる理由が無い
クラウドファンディング=金で全て解決 ではない
クラウドファンディングを否定するのは時代遅れでは?

 

私の主観・主張も大分混じっていますが、こんなところでしょうか。

仮にJICAがクラウドファンディングの利用を認めたら、青年海外協力隊のなかでクラウドファンディングが乱立する可能性がありますが、それはそれで新しい時代の形として良いのではないでしょうか。

 

資金調達できたからと言って、それだけで現地の抱える問題は絶対に解決しません。

だから、青年海外協力隊が現地に派遣される意味が無くなるという事は絶対にありません。

 

 

これはあくまでも私の主張なのですが、議論の余地はまだまだあるかと思います。

もし現役隊員の方でクラウドファンディングを企画したいと思っていてJICA側にNGをもらったとしたら、

今回の記事の主張も議論に入れてくれたら嬉しいなぁ・・・なんて思います。